ニュースを開けば、どこもかしこも訪中の話題でいっぱいだ。
今回の訪問で個人的に面白いと思ったのは、単なる首脳会談ではなく、アメリカを代表するビジネスリーダーたちを大勢引き連れていったこと。
同行した顔ぶれが豪華すぎる。
アップルのティム・クックCEO、テスラ&スペースXのイーロン・マスク、エヌビディアのジェンスン・フアン、ボーイングのケリー・オルトバーグ、さらにはブラックロック、ゴールドマン・サックス、マスターカード、ビザといった金融の巨人たちまで、総勢17名以上のトップが顔を揃えた。
この経営者たちの資産を合算すると、なんと約1兆ドルに迫るという。
兆ドル規模の「ドリームチーム」が北京に乗り込んだわけだ。
ビジネスの話をしに行った、というわかりやすさ
国家間の外交というのは、どうしても難しい言葉が並びがちで「で、結局何が決まったの?」と首を傾げることも多い。でも今回はわかりやすい。
ビジネスの話をしに行ったのだ。
中国側が購入するとされているのは、アメリカ産の大豆、LNG(液化天然ガス)、そしてボーイングの航空機200機。習近平国家主席は同行したCEOたちに対して、「中国の扉はさらに広く開かれていく」と語りかけた。経済界へのメッセージとしては、これ以上ない直球だろう。
個人的に一番気になるのは、やっぱりイーロン・マスクだ
マスクとフアンは今回、大統領専用機エアフォースワンに同乗した唯一の経営者だったという。それだけでも特別扱いが際立つが、マスクが中国でどんなビジネスをしているかを改めて考えると、この訪問の意味が見えてくる。
テスラの最大の生産拠点は、実は上海のギガファクトリーだ。テスラが「ギガファクトリー」と呼ぶ巨大工場を5年以上前に上海で最初に開設し、それが現在テスラ最大の生産施設になっている。
ただし、中国のEV市場での競争は年々厳しさを増しており、中国メーカーは小鵬汽車、NIO、Li Autoといった企業が優れた運転支援技術でテスラを追い上げている状況だ。
そしてもうひとつ、注目のキーワードが「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」。テスラの高度運転支援システムFSDはすでに中国で部分的な認可を受けており、2026年中に全面的な認可を取得できる可能性がある。これが実現すれば、テスラの中国での巻き返しが本格化する。
「ビジネスに国境はない」を体現した日
今回の訪問を眺めていると、国際的なビジネスのダイナミズムを改めて感じさせられる。
世界最大の消費市場を持つ国と、世界最先端のテクノロジーを持つ国。どちらも、お互いを必要としている。同行したCEOたちにとって、中国は重要な製造拠点であり、同時に巨大な消費市場でもある。
マスクについては、ワシもまだまだ勉強が足りない。テスラのEVにとどまらず、スペースXの衛星通信「Starlink」が中国でどう扱われるか、AIの開発競争がどう絡んでくるか…話の裾野が広すぎて、追いかけるだけで一日が終わりそうだ。
しかしこういう動きを見ていると、ビジネスというのは国境を軽々と越えていくものだな、とつくづく思う。自分の仕事でも、もう少し視野を広げなければ、と刺激をもらった一日だった。
写真は、日本経済新聞電子版より
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14DDB0U6A510C2000000/